高額療養費制度―高額療養費制度を補完する制度1―後払い制を補う制度
高額療養費制度を補完する2つの制度
高額療養費制度は、最初からかかった医療費の3割だけを負担すればよい通常の医療費給付とは異なり、後払いの制度である。
そして、申請して実際に支給される(お金が払い戻される)のは数カ月先のことになるため、大きな経済的負担になる。
加えて、高額療養費の申請手続きも煩雑である。
そこで、公的医療保険制度では、こうした問題点を補うために次の2つの制度が用意されている。
限度額適用認定証制度
限度額適用認定証制度は、平成19年(2007年)4月より新たに導入された制度で、高額療養費の現物支給の制度である。
「現物支給」というとお金の代わりに何かモノが支給されるのかと思うかもしれないが、そうではない。
高額療養費制度は後払いの制度なので、当初は数十万円の医療費を準備しなければならない。
限度額適用認定証制度=高額療養費の現物支給制度は、入院にかかる高額療養費については最初から自己負担限度額分だけの支払いですむという実に画期的な制度である。
すでに70歳以上の人には実施されていたが、これを70歳未満の人にも拡大したものである。
ただし、利用は1カ月単位で、同じ医療機関に入院する場合に限られるなどの制約がある。
また、まだ新しい制度なので医療機関により具体的な対応の仕方が異なっているかもしれない。
原則としては診察を受けるために保険証を提出する際に本制度を利用するための手続を済ませている必要があるが、実際に医療費の請求を受けるまでに手続を済ませておけば大丈夫というところもあるようである。
とはいっても医療費を全額支払ってしまうとさかのぼってまでは本制度の適用を受けることはできない。
なお、保険料を滞納している人は原則としてこの制度の恩恵を受けることはできない。
高額療養費貸付制度
高額療養費貸付制度とは、自己負担限度額を超える医療機関への当面の支払額を国保が一時立て替えてくれる制度で、やはり後払い制である高額療養費制度を補完するものである。
市区町村が独自に条例で定めているので、詳細は国保窓口などに問い合わせてください。たとえば、市区町村によっては協定を結んでいる医療機関への支払のみに限定するなどの制約があります。
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