[保険]医療保険・年金保険等

健康保険・国民健康保険等の社会保障制度について、手続きや保険料計算の仕方、免除、扶養家族や任意継続の問題、高額医療等の給付内容から医療費控除の確定申告(国税庁)まで様々な観点から整理しています。


お薬手帳(おくすり手帳・薬識手帳)―料金・費用


お薬手帳の料金・費用

お薬手帳の算定方法―お薬手帳は無料?

お薬手帳は、調剤報酬点数表の「薬剤管理料」の一項目である「薬剤服用歴管理指導料」で規定されています。

そして、この「薬剤管理料」は保険薬局の重要な収入源となっています。

保険薬局に適用される点数表です。

調剤報酬点数表の改定
2012年(平成24年)4月1日改定―薬剤服用歴管理指導料の算定要件

2012年(平成24年)4月1日に調剤報酬点数表が改定されて、お薬手帳への記載は「薬剤服用歴管理指導料」(41点。つまり、医療費として410円かかり、利用者は3割負担で123円の費用が発生します。)を算定するための要件とされました。

薬剤服用歴管理指導料(処方せんの受付1回につき) 41点

注1 患者に対して、次に掲げる指導等のすべてを行った場合に算定する。

イ 患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書又はこれに準ずるもの(以下この表において「薬剤情報提供文書」という。)により患者に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと
ロ 処方された薬剤について、直接患者又はその家族等から服薬状況等の情報を収集して薬剤服用歴に記録し、これに基づき薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと
ハ 調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること
ニ 患者ごとに作成された薬剤服用歴や、患者又はその家族等からの情報により、これまでに投薬された薬剤のうち服薬していないものの有無の確認を行うこと。
ホ 薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に関する情報(後発医薬品の有無及び価格に関する情報を含む。)を患者に提供すること。

 

ただし、お薬手帳を持参しなかった患者については、調剤された薬の名称・用法・用量等の一覧を印刷した紙やシールを交付することでもよいとされています。

つまり、保険薬局は、お薬手帳の発行・記載の有無にかかわらず、41点(410円)を算定することができるようになったということになります。

逆に言えば、お薬手帳の発行・記載をしてもしなくても医療費は変わらないということです。

そして、これをもってお薬手帳が実質的に無料化されたという人もいます。

 

もちろん、算定の要件を満たしても算定するしないは薬局の自由です。

しかし、薬の服用に関して基本的な説明や指導を行い、そして薬の説明書をプリントアウトして交付する等すれば収入になる以上、おそらくほとんどの薬局では算定しているものと考えられます。

 したがって、本当にお薬手帳が「実質的に無料化された」といえるのかは疑問の残るところです。

お薬手帳の制度はかたちを変えてソフトに(間接的に、という意味。悪く言えば、利用者からは目に見えないかたちとなって)、しかも、従来よりも高くなって(改定前は30点)診療報酬の算定方法に組み込まれたのだ、という見方も可能だと思います。

 

お薬手帳の強制・義務化(拒否はできるの)?

保険薬局ではよくお薬手帳の呼びかけをしています。

そして、なかにはお薬手帳が義務化されたなどと説明する人もいます。

しかし、そういうことはありません。

上に述べたようにお薬手帳への記載は、薬剤の服用に関する基本的な説明や必要な指導等とともに、保険薬局が薬剤服用歴管理指導料(410円)を算定するための要件であって、決して患者の義務などではありません。

 

ただし、義務ではないからといって患者がお薬手帳を拒否できるのかというと、今時点(2012年8月時点)ではグレーゾーンです。

たとえば、厚生労働省の担当者が2012年3月7日に次のような見解を述べたというニュースもあります。

厚労省 お薬手帳「断固拒否」、その旨記録で算定可

厚生労働省保険医療課の江原輝喜課長補佐は7日、都内で調剤報酬などをテーマに講演し、「薬剤服用歴管理指導料」(41点)について見解を示した。新たに要件となった「お薬手帳への記載」に関し、手帳の意義を説明し尽くしたにもかかわらず、患者が手帳を断固拒否した場合は「これだけ説明しても断られた、と記録することがあり得る」と述べ、手帳に記載しなくても例外的に算定可能とする方向性を示唆した。

厚労省 お薬手帳「断固拒否」、その旨記録で算定可 - 薬剤師と薬学生の情報交換コミュニティ ココヤク

 

ただし、この見解は厚生労働省の正式なものではなく、一担当者が講演会で「示唆」しただけのものです。

現場では薬局により対応が異なり、お薬手帳を「断固拒否」すれば算定されないというケースもありうるでしょう。

 



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